CGMについて考える前に、CEMを考えよう

CGM(消費者発信型メディア:Consumer Generated Media)やUGC(ユーザーがつくったコンテンツ:User Generated Contents)という言葉があちこちで使われるようになってから、もう数年が経つ。
CGMとは、古くは2ちゃんねるなどの掲示板に始まり、@cosme、価格コムなどの評価サイト、ブログやSNSに含まれる日記系コンテンツ、OKWaveなどのQ&A教えてサイトなどといった一般のインターネット上のサービスを指し、消費者が情報を作成・発信することでメディアとして機能しているものの総称をいうわけだが、そこには「消費者が消費者視点での独自の情報を発信している」というニュアンスがこめられる事があり、どうも違和感があった。

消費者がコンテンツをどの程度作っているのか?

そもそも、YouTubeやブログなどのCGMの代表選手の中で、独自にコンテンツを作っているといれるものというのは、どのくらいあるのだろうか?
多くのCGMでは、マスメディアの発信した情報を切り張りしているだけのように思える。特に動画や時事ネタなどの取材力や作成コストの掛かるコンテンツについては、その傾向は顕著だ。


結論から書く。消費者はコンテンツをあまり作っていない。マスメディアに代表される従来どおりの1次コンテンツを元に、加工・編集し、時に評価する。このような行為が実際は大きなウェイトを占め、しかもその点こそが大きな影響を社会に与えていると思われる。

言葉をつくろう

「そんなことは、言われなくても知っている」という話でもあるとは思うのだが、ここで問題提議したいことは、CGMという便利すぎる言葉の弊害である。
つまり、CGMという言葉が1.消費者がコンテンツをかなりイチから作る場合と、2.切り張りや評価のみを行っている、という両方を含んでしまったことにより、CGMという言葉を使った議論が、時に論点が曖昧になってしまうのではないかということである。


ならば、きちんと言葉から分離をしてみたらどうか?という提案なのである。


言葉 としては、CEM(消費者に編集されたメディア:Consumer Edited Media)、UEC(User Edited Contens)とかでいいと思う。また、他に既に言葉があるのなら、そちらでも構わないので、その場合は教えて欲しい。


CEM/UEC には、テレビ番組の面白かったポイントのみを切り出して、YouTube に投稿したもの。面白かったマスメディアの記事に評価とコメントを加えたはてなブックマークのようなもの、関心を引くニュースを切り出してコメントをつけあう2chの板などが上げられる。
一方、CGM/UGC には、クッキングレシピを公開したものや、今日あった面白いことをブログに書いたもの、ギターの速弾きYouTubeに上げたもの、などが上げられる。

まとめ

これら一連のCEM/UECは、例えば、新聞の1面にどれを載せるか。テレビ番組のハプニング大賞としてクリッピングするにはどこが一番面白いか、また、どういう字幕を出すと面白さがより引き立つか、など従来マスメディアが「オススメ」として限られた枠内を配分したり、より分かりやすく伝えるための付加情報といった編集権を消費者が肩代わりを始めていることを意味している。
これからのメディアは、どの程度、編集権をユーザーにうまく渡せるかが、協力関係を築けるのかといった点、すなわち、CEM/UECに使ってもらうことが、既存のコンテンツにより高い価値を持たせるための鍵になるのではないかと思う。


そして、そのような議論をスムーズに行うために、CGMのより狭義な言葉を作った方が良いのではないかと言うのが、今回の意図だったりします。