JASRACの主張は、Googleならつぶせる。
「徹底的に争う」とJASRAC加藤理事長 排除命令、YouTubeやニコ動に影響は (1/2) - ITmedia NEWS
この記事を読んで、考えた解決案を少しまとめてみます。
この記事を読むと、JASRAC の主張は、一理あるように思える。
ただ、曲の使用数に関わらず、放送事業の売上収入から一律聴取するというのは、やはり乱暴なやり方だと思う。
JASRACが主張しているのは回避措置
既得権益に守られた経緯から圧倒的なシェアを握っていることそのものが、他社の市場参入を妨げている企業は他にもある。
例えば、エネルギー関連や、昔のNTT・郵便局のような存在であるが、これらの企業には一定の公益性が求められてしかるべきである。そして、その公益性を支えるのは、一般的に情報開示であり、上記のやり方はそれに真っ向から反している。
つまり、
- 本来あるべき姿(今回の場合、使用曲数に応じて、料金を徴収すること)
が、
- 運用上コストが掛かりすぎる(今回の場合、全使用楽曲を把握する)
が為に、現在の方法が取られているのである。
そして、JASRAC側も、自分たちの主張が現時点での回避措置であることを、下記発言から半ば認めていることがうかがえる。
「全曲報告の取り組みは、民放連とも合意しており、放送局の協力を得ながら03年から進めてきた。キー局はすでに全曲報告になっているが、地方局などが対応していない」
そして、このような「コストが掛かりすぎるために、本来あるべき姿が実現できない場合」の解決策としては、得てして”技術”がこれを解決することになることが多い。
例えば、技術が解決すると仮定した案を下記にまとめる。
Googleなら、番組を「検索」出来る。
ここでいう”Google”とは、あくまでもGoogleの様な技術を持っているようなところと考えてもらえれば良い。
つまり、今回の問題は、下記のように考えれば、技術的に解決できるような気がする。
まず、放送されている番組で使われている音声を、Webページなようなものと考えよう。このとき、1ページは、1番組。ページの上から下まで、番組上での音の周波数情報が時間に沿って書かれているようなイメージである。
このように考えると、
- ある曲が使用された
ということは、
- そのページに、あるキーワード(ある曲)の一部分が含まれていた。
ということを意味している。
つまり、番組放送上でどの曲が使われたかを把握することは、基本的に「検索」技術で解決できそうである。
解決に向けて
では、どのようなステップで今後進めていくのがいいのだろうか。
まず、国はJASRACなどの音楽著作権管理業者に、管理対象の全ての音源データを国が管理・管轄するデータベースに提出することを義務付ける。
次に、そのデータベースにアクセスし、インデックスキー作成のために限定して使用出来る事業者を認可制で認める。
そして、その事業者は、放送局から発注を受け、その放送局の放送されたデータで使用された楽曲データを自動的に抽出し、その楽曲がどの管理業者のもつ権利かを紐付けた上で、放送事業主にリストを納品する。
といった流れでいいだろう。
図にしてみると
のようになる。
このやり方のメリットは、放送局とJASRACとの間に仲介業者が入ることで、複数の著作権管理業者が混ざった場合の効率的な処理が可能になることである。
これならば、放送局はどの著作権管理業者の楽曲を使ったかを気にしないで、コンテンツ作りに専念できる。
また、定期的な報告から、管理業者間でのコストの違いも明確に把握でき、市場の透明化につながるのではないだろうか。