ロングテールのコンテンツビジネスについて。

昔まとめたものですが、今でもそれほど古くなっていないような気がしたので、ひとつに整理してみました。


CNETの森祐治氏がショートコンテンツの有用性について書いていたので、
コンテンツ系のビジネスの今後について、ちょっとまとめてみます。


インターネット上で急速に注目されるショートコンテンツ - CNET Japan


この記事の中では、携帯電話が想定された上で、ショートフィルムに着目すべき理由をメインに挙げている。


記事の中では、いろいろな要素について書かれているが、ショートフィルムをうまく「仕組みに乗せる」為のキーとしてあげているのは、以下の3点であろう。

  • 短いこと。
  • 作成者が、多くの一般の人であること。
  • Socialな仕掛けがあること。

これらの特徴は、言い換えれば「ロングテールとのマッチングをいかにしてうまく行うかについての仕掛け」ということになる。
そうなると、この仕掛けは、ブログで既に出来上がりつつあるともいえるだろう。

ブログで考えると、テキストと動画の違いはあるものの、上記の特徴は全て活かされている。

  • 「短い」--> 日記形式という形が、自然と、コンテンツを短くして、小口化して作成する仕組みを生み出している。
  • 「多くが一般人」 --> ブログというCMSの仕掛けがこれを可能にしている。
  • 「Social」 --> トラックバックランキングなどの仕掛けが、最近まではこれに当たっていた。しかし、記事を引用するトラックバックよりも、Social Bookmark の コメントの方がより、「面白いコンテンツが自己組織化して浮かび上がってくる」仕組みを促進している。


要は、ブログとは、従来のしっかりした”My Home Page”をショートコンテンツにした形態ともいえるわけである。

となると、ショート動画をうまくいくような仕掛け作りとは、テキスト中心のブログの仕掛けを、そのまま流用すればよいという気がする。

ただ、動画コンテンツは、テキストよりも作るのが大変である。
そして、大変な分、いいものが出来たときは、より高い価値で評価されることになる。

これについては、現在のはてなの「投げ銭」機能が担える可能性があるが、僕としては、もう一歩進めて、「いいものを作成した人が、きちんとした対価を得られるような仕掛け」が欲しい気がしている。



では、具体的に、ロングテールのコンテンツを個々人が作成した場合を考えてみます。
このような事例は、一昨年くらいから数多くみられていたように思う。


これらの中には、繰り返し見てしまいたくなるようなものや、つい人に教えたくなるようなものが多く、クチコミで拡がったものである。


これらは、拡がることで話題になり、やがて、CDや、本といったリアルな媒体(そして多くは、旧来型のCDをプレスしたり、本を製版できる技術、資本をもっている大企業)を通じて、世の中に多く出回り、極々稀に大きな収益をあげるというパターンが多かった。




しかし、Googleの アドワーズアドセンスをみても分かるとおり、ロングテールを基本にしたビジネスというのは、広い裾野、多くの多様性によって、「少額決済」から「高額決済まで」、中間層も含めた対価とマッチングによって成り立つのが、全体的な傾向である。
となると、大半が0円で、たまに、巨大な利益では、中間層が存在せず、ロングテールのビジネスとしては、なにか不自然な気がする。


以上のことを考えると、マイヤヒのような楽しいFLASHコンテンツや、ショートフィルムに対してクリエイターへの対価としては、少額から開始できる課金サービスが、望ましいだろう。ただ。その一方で、課金した途端に拡がらなくなるのも、事実であるので、要はバランスが大切ということになる。


つまり

  • 観てくれないのならタダ(0円)にする。
  • 多くの人が観てくれるようだったら、少額でいいので課金したい。


の間のバランスを自動で取るようなシステムが望ましい。


ならば。


「自動変動相場によるコンテンツ公開システム」


というところは、どうだろうか?


もしくは、はてなアイデアのような人口市場で先行投資という形を取り入れても面白いが、まずは、シンプルに上記で例を考えてみる。
例えば、次のような感じである。

  • まずは、作成したコンテンツを公開する。この時点では0円。誰でも無料で見ることができる。
  • ダウンロード数の伸び率に応じて、課金額が生じる。ただし、金額には幅をつけ、「0円から5円」「5円から10円」というようなものにし、観た人の主観に応じた価格づけをしてもらう。
  • ダウンロード数と、価格幅の中での中央値を用いて、価格を自動的にコントロールしていく。 ダウンロード数のスピードが落ちた場合や、中央値が最低金額に近い場合には、価格が自動で下がる。スピードが上昇し続ける場合、中央値が上限に近い場合には、価格は上昇していく。

この仕組みでやった場合のいいところは、「面白いものを人より早く探した人」、「面白さを伝えた人」が、結果的に、安い価格のときにコンテンツを得ることが出来るため、噂になってから観た人に比べて、得をすることである。


つまり、インフルエンサーや、アーリーアダプターに対しては、それなりの対価が支払われることになる。
ここの人たちは、従来、「新し物好き」といった形で、無償でインフルエンサーの役割を買って出ていたわけだが、後から噂を聞きつけてくる人からしてみれば、いわば、


「探索コストをアウトソーシング


しているわけで、そう考えると、そこにはサービスとして緩やかな対価を支払ってもよいような気がするが、どうだろう?