2008年に起こりそうな事

2007後半に飛び込んできたニュース

2007年を振り返ったときに、今年の大きな変化を予想させるニュースがひとつ飛び込んできました。

2008年は、もしかしたら、デジタル財に関する著作権の問題に一定の整理がつく年になるかもしれません。

そのニュースがレディオヘッドが行った下記のニュースです。

In Rainbows」が画期的だったのは、購入者がダウンロード時に自分で好きな価格を付けられるところにある。しかも、ユーザーが望めばお金を払わず「無料」でアルバムをダウンロードすることもできるのだ。このアルバムこそ、本当の意味の「オープン価格」であると言えるだろう。

テクノロジー : 日経電子版

純粋にレディオヘッドは、昔から好きなバンドだったのですが(「The Bends」は、今でも最高のアルバムのひとつだと思う。)、それとは別に主に著作権の問題から、次に起こる流れを予想(願望?)したいと思います。


2005年以降、CGMと呼ばれる流れにのって、大きな流れが続いています。この中で、次の2つの特徴に注目したいと思います。

  • 決めるのはユーザー
  • 動く

まず、最初の

決めるのはユーザー

についてまとめます。

これは、多くのことがユーザーに移りつつあることを表しています。
「コンシューマー(消費者)から作成者でもあるプロシューマーへ。」といった流れの一端でもあるのですが、これはもっと広く捉える必要があるでしょう。


現在、ユーザーが行っているのは、もっと多方面に及んでいます。youTubeニコニコ動画を例に、無理やり段階を整理すると以下のようになります。

  • コンテンツの作成 (create)
  • それを評価する(evaluate)
  • タグをつけ分類し(classify)
  • 拡げる (spread)

これが、一週目です。

この段階を得てブレークすると、次に起こるのは、

  • 最適な広告をつける(advertize)
  • 亜種が出回る(variate)
  • 関連コンテンツが増加する(extend)
  • まとめサイトが出来る(consolidate/edit)

までの、所謂、コンテンツが関連コンテンツと変種からなる生態系を構築するまでです。

このように「あらゆる仕事はユーザーに委ねられうる」ということが、現在、起きている流れです。

良いコンテンツかどうかを評価するのもユーザーならば、それがどの広告と結びつくと(ネタとして、情報として)より楽しめるものになるのかを考えるのも、ユーザーです。


そして、レディオヘッドが行ったのは、この流れに加えて、オークションなどC2Cの世界では当然だった「価格をつける」ことを、ユーザーに委ねたというわけです。


次に、もうひとつの

動く

について説明します。


これは、2chのころからそうだったとも言えますが、Twitterや、ニコニコ動画ソーシャルブックマークなどに顕著にみられる時間軸に対する動きの速さです。


コンテンツはより細切れになる代わりに、それらは時間軸や友人関係などのネットワークを利用して、より適したところに適した時間だけ表示されるようになっています。


これは、これまでの「能動的に探すWeb」から「受動的に眺め、時に参加するWeb」への変換を表しているような気がします。

もともと、動きがあるのは、活発なコミュニティの特徴でしたが、2ch

  1. 更新されたスレッドを上にする。
  2. ひとつのスレッドに上限を設ける

のふたつで実現していた受動的エンターテインメントの性質が、集合知を活用したシンプルな仕組みによって、より高度に進化してきていると言えます。

予想

以上のふたつの融合として、予想してる流れは、

  • ユーザーがデジタル財(CGMを含む)コンテンツの価格を変動相場性で決める。(決めるようなシステムが出る)
  • その際、B2Cのコンテンツでは貨幣、もしくは、貨幣に紐付けられたポイントが使われ、一方、C2Cでは、より貨幣らしさの薄いユーザーポイント(はてなスターにもう少し制限を加えたような。)が使われる。

です。


想定してるプレーヤーとしては、B2Cでは少し尖っていて、かつ、コンテンツを所有する

あたり。

C2Cでは、すでにデジタル財をユーザー間で交換する場所を場所をもってる

あたり。


あと、こういう流れの際に出てくる情報仲介者(システムのみを誰でも使える形で無料で提供し、なんらかの形で収益を上げる。)として第三者的役割がもて(自らが利害関係者ではない。)、かつ、革新性のあるという意味では、

あたりを今のところは想定しています。


なお、具体的な価格決定の仕組みのイメージは、以前書いた

ロングテールのコンテンツビジネスについて。 - 情報流の流れに身を任せ。

のシナリオです。



以上、今年一発目ということで、初夢のような話題を出してみました。


以上書いたことは、まだまだ先だろうと思っていた予想だったのですが、レディオヘッドのニュースを受けて、もう少し早く起きるかもしれないと思い、今年の予想にしてみました。


当たるも八卦ですが、世の中が多様化するのであれば、いつかは起きる流れだと思っているので、あとは、「いつ」ということだと思うのですが、どうでしょうかね?